| 楽しく食べて運動を 4.長寿の秘けつ |
| ライター 岡田 夏憂 |
| 九月は敬老月間です。普段は、施設の最高齢者の年齢や平均年齢を気に掛けることなどありません。けれど今月は市長の高年者訪問や老人福祉大会などが行われるため、こういった事を調べることとなります。 私が働いている施設の最高齢者は九十七歳で、施設の平均年齢は八十二歳です。一番若い方は六十四歳です。考えてみれば、六十四歳から九十七歳の人達が共同生活をしているわけですから、施設というのは実に不思議なコミュニティーです。 年齢が三十歳以上も離れた人たちが毎日ほとんど同じ食事をとったり体操をしたり、同じように生活をしているのです。よく考えるとこれは驚くべきことです。けれど、私はこの生活形態にこそ長寿の秘けつがあるのではないかと考えます。 施設に入所されている方にとって食事は楽しみの一つです。施設で出される食事は全て管理栄養士によって考えられたものですから、栄養もしっかり計算されています。朝食にはほとんど毎日、奈良名物の茶粥を食べます。毎月一日には小豆粥が出たりもします。細かく紹介しますと、朝食から昼食までの間に牛乳を飲み、午後には、おやつを食べます。そして、夕方の六時に夕食をとります。 これだけみても、彼らがいかに健康的な食生活を送っているかがわかります。また、行事食としてお誕生日会には、その季節ごとの特別メニューが用意されています。バイキング形式の行事食や、お鍋、にぎり寿司の出ることもあります。高齢になると、それほど沢山食べることが出来なくなります。 けれど、皆、食べることをとても楽しみにしています。何よりこのことが大切なのではないでしょうか。楽しく食事をして、しっかり栄養をとる。「食」の基本が施設では、きっちり守られているように思います。これこそが、入所者の健康を支えているに違いありません。 施設職員である私たちは、毎食、入所者と一緒に食事します。それは、別のものを食べながら、「おいしいですか?」と聞くよりも、同じ物を食べながら「おいしいね」と話すことのほうが、とても意味深いことのように思えるからです。 「好き嫌いを言っちゃいけませんよ」、「残さないで」などと九十歳を超える入所者と本気で言い合うこともあります。でも、彼らは頑固で、私の言うことなど本気で聞いてくれないことのほうが多いです。けれど、これも、「食」を通して生まれる大切なコミュニケーションではないでしょうか。 また、体を動かすことも施設での日課の一つになっています。午前にはラジオ 体操をおこないます。職員も一緒に体操するのですが、誰もお手本にしている様子はありません。入所者の皆は好きなスタイルで体を動かしています。音楽に合わせ、元気よくジャンプする人、足踏みをする人。足が不自由な方は椅子に座って上半身を動かしておられます。午後からは、レクリーションも兼ね、ナツメ ロにあわせたダンスを中心に体を動かします。 時には、点数を競うゲームなども行います。特に風船バレーなどは本気で喧嘩がおきてしまうほど、皆、興奮するのです。もうここまでエキサイトしてくると、自分がおばあちゃんであることなんて忘れています。隣にいるのが職員であろうと、九十七歳のおばあちゃんであろうと容赦ありません。この興奮状態、気持ちの高ぶりこそが入所者の元気の源なのでしょう。 楽しく食べること、体を動かすこと、そして毎日を遊び心いっぱいに過ごす事。この事こそが長寿の秘けつなのだと、施設で生活する皆を見て、確信しました。 おじいちゃん、おばあちゃん、どうぞこれからも、元気で長生きして下さいね。 |